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PCRについて

いかがお過ごしでしょうか。

今回の記事は、今話題のPCRについて。
とは言っても、PCRの原理は検索すればいくらでも出てくるので、よりPCRについて知ってもらうためにも周辺情報について主に紹介します。
少し長いのですが、誤解しないためにも最後まで読んでもらえると幸いです。

PCR小話

まず、PCR生命科学においてどんな技術なのかを簡単にご紹介します。

PCRは、生命科学においてとても大事な実験技術です。が、特別な技術ではありません。
僕のような実験生命科学分野で研究する人にとっては、基本的な実験技術の一つになります。
ちなみに、僕が研究室に入って一番最初にやった実験が、このPCR法を用いた実験でした。
そのくらい基本的なものです。
この場合の基本的というのは、"簡単な技術"ということではなく、"実験生命科学を研究する上で必要(不可欠)であり習得すべき技術"ということです。
なので、有無を言わせずやらされました。
ちなみに僕がお世話になっている先生は、PCR法を用いた実験結果の綺麗さで、その人の実験の上手さを判断しています。(多分)

PCRとは

PCRとは、polymerase chain reaction (ポリメラーゼ連鎖反応) です。


.....?????


簡単に言うと、DNAを増幅させる方法です。
ただ増やすだけではありません。
自分が増やしたいDNAの一部を選択的に増幅させる事ができます。
選択的に増やすメリットって何???
そう思うかもしれません。


例えば、今回のCOVD-19検査ですと

ヒトは持たず、SARS-CoV-2は持つ塩基配列を選択的に増幅させるPCRを行います。
そして、増幅されたものを陽性、増幅されなかったものを陰性と判断しています。

このようにCOVD-19のPCR検査は、選択性を利用しています。


また、余計な部分を増やさないので時短にもなります。

PCRについて気をつけたい事

「増幅されたものを陽性、増幅されなかったものを陰性と判断している」
こう記述しましたが、厳密には「増幅されたものは陽性の可能性が高い、増幅されなかったものは陰性の可能性が高い」になります。
これは、PCRに限ったことではないですが、偽陽性偽陰性が含まれるからです。
COVID-19PCR検査における偽陽性とは、SARS-CoV-2に感染していないのに、塩基配列が増幅されてしまうことであり、偽陰性とは、SARS-CoV-2に感染しているのに、塩基配列が増幅されないことです。
これは、検査時特有の現象ではなく、実験室レベルでも生じる現象です。
なぜ生じるかは、様々な理由があります。(割愛)
こうした現象がどの程度の割合で生じるかを、"特異度"或いは"感度"と呼んでいます。

偽陽性偽陰性がどの程度の割合出てきてしまうかは、世界中の専門家が議論しています。
(可能性が高いという判定も、どの程度高いのかは偽陽/陰性が生じる割合によります。)


PCR検査陰性は真陰性と偽陰性を含み、これらの区別は困難です。
そのため、COVID-19において仮にPCR検査を行ったとしても、
PCR陰性 = SARS-CoV-2に感染していない
とはならないので、注意が必要です。
確度を上げるには、より多角的・多重的な証明が必要になります。

追伸

緊急事態宣言が解除されました。

当初の僕はCOVID-19に対して、大したウイルスではないという印象を抱いていましたが、色々と明らかになるにつれて、今は感染すると意外に厄介なウイルスだなという印象を抱いています。
それは、COVID-19が強力な毒性を持つからではなく、全身で様々な症状を引き起こす"引き金"となる可能性を持つからです。(追々、こういうテーマについて詳しく書ければと思っています。)
こうした未知ウイルスとの共存は、漠然とした不安を抱えます。(僕もそうです)
しかしながら、ウイルス感染を過度に恐れて、ストレスを抱えることも免疫の観点からよくないです。
正しい情報を収集し、ストレスを減らしながら感染防御する (うつらない・うつさない) ことが良いかと思います。


科学以外にも通ずることだと思いますが、一次情報は事実に最も近い情報であると思います。
ですから、なるべく一次情報に近い情報を提供できればと思いこの記事を書きました。
世間の怪しい噂や、ある人の個人的意見を事実と勘違いして惑わされないようにすることも、正しい行動をとるための一つの手段だと思います。
そうしたことの手助けになれば幸いです。


院生の端くれが述べている事なので、鵜呑みにすることはあまりお勧めしませんが、
この記事を通して、何かを知るきっかけになってくれれば望外の喜びです。